アラビアの山羊飼いカルディの物語
アビシニア高原に住むカルディがある時、山羊を新しい牧草地に連れていくと、
山羊が興奮して、夜になってもいっこうに寝つきませんでした。
困ったカルディは近くの修道院に相談しました。
僧長が調べてみると、山羊がある低い木の赤い実を食べているのがわかりました。
その実をいろいろ調べてみることにしました。ある時、ゆでた汁を飲んでみると、
その晩はいっこうに眠くなりません。そして彼はあることを思いつきました。
修道院の夜の礼拝で居眠りをする僧侶たちに飲ませてみよう!と。
さっそく飲ませてみると効果は絶大でした。
それ以来僧侶たちは夜の勤行のつど、赤い実を煎じて飲んだそうです。
これがコーヒーの実だったようです。
イスラム教僧侶オマールの物語
イスラム教僧侶シェーク・オマールは、罪に問われてアラビアのモカからオウサブという所へ追放されました。
食べ物もなく、ひもじい思いでさまよっていた時、小鳥が赤い実をついばんで陽気にさえずっているのを見ました。
その実を煮込んで見たところ、素晴らしい香りのスープが出来あがりました。
早速飲んでみると、疲労も吹き飛び、心身に活力が湧いてきたのです。
これをきっかけにして、後に彼はこの赤い実を用いて多くの病人を救ったのです。
その評判が国土にも届き、罪を許され、彼はモカへ帰ることができました。
モカへ帰った彼は、そこでも多くの人々を救ったことから、やがては聖者としてあがめられたといいます。
この赤い実がコーヒーの実だったのでしょうね。
発祥の地はエチオピア
「山羊飼いカルディの物語」の舞台となったアビシニア高原(現エチオピアのアムハル高原)には、
今も自然樹林の中に野生のアラビカ種のコーヒーの木が育っています。(ワイルドコーヒー)
気候風土がこの品種に最適なのでしょう。
アラビカ種といえば、現在商品化されるコーヒーの大半を占める高級品種です。
ここをコーヒーの発祥の地とするのに異論はないでしょう。
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